少年が眠りに落ちるのを天上から眺めて、アリスは満足そうに微笑んだ。
少女の笑みとはまた違う、艶やかな笑みを。
「お前の考えてる事は、本当によくわからんのぉ〜」
隣で、ホラー映画に出てくる死に神さながらの黒い布をまとった骸骨が、あごの骨をカタカタならして呟いた。
「見てたの?羽織羅」
わざとらしく目を丸くして見せるアリス。
「どうせ少しはいただく命灯なのだから、手っ取り早くすませばいいと思うんだがのぉ〜」
少女は、ぱっと目をそらした。
「ま、誰の命をどうこうしようが、わしには関係ないからのぉ〜」
黙って背後に立っていればそれなりの恐怖を作り出せるのだが、出てくる言葉は何かがずれていた。

そこは、いつもと同じ風景だった。
朝の教室。やけに大きい窓から射し込む陽の光。ぱらぱらと集まるクラスの人間。
お互いに宿題を貸しあったり、昨日見たテレビの話だったり、行動はさまざまだ。
そして誰も僕を見ず、僕に話しかけようともしない。
みんながすいすいと僕の横を通り過ぎて行く。

こんなはずじゃない。

僕の描いていたものはもっと違うものだったはずだ。
夢の中まで日常の中にいたくない。
少なくとも僕の楽園は学校なんかじゃない。
それともこれは現実なのか?
どうやってここまで来たのかはわからないけど、いつの間にか目が覚めてしまったんだろうか。
でも、登校の記憶がないのはおかしい。
釈然としない思いを抱えたまま教室のすみっこでじっとしていると、見慣れた顔が入って来た。
いつも朝一番に顔をあわせる奴。
鏡の中から僕と同じ方向を見てる奴。

そんなのおかしいじゃないか。

僕が二人いるなんてありえない。
僕と同じ顔をした奴が、僕と同じように歩いて僕の席に座った。
僕がいつもするように、回りをちらちらと伺って奴はうつむいた。
鏡の向こうの自分が一人歩きしてるみたいだ。
でも僕はここにいる。ここに立ってる僕が本物なんだ。
じゃああいつは誰だ?
ふと、僕はおかしなことに気づいた。



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お知らせ

鏡、実家に帰省のため、日記は27日までおやすみです〜。
続きはもう少しまっててね〜

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